石橋を創って渡る。

日々の創作日記。 このブログは、パソコン版表示を推奨します。 記事は横へと動くようになってます。

ナナセと本を助けに行く話。

ナナセと本を助けに行く話。 ―完―

「ゾウを冷蔵庫に入れる方法は?」という、ジョーク問題がある。その答えは「冷蔵庫の扉を開ける→ゾウを入れる→扉を閉める」というもので、真剣に考えていた人にとっては拍子抜けの答えとなっている。 この問題を僕なりに解釈すると、「物事を難しく考えず、…

ナナセと本を助けに行く話。―5―

「そう、それは僕の台車」 真面目そうな男に、僕はなるべく落ち着いて答えた。ここで怪しまれてしまってはナナセの作戦は失敗だし、なにより僕が部外者だとバレたくない。ここは上手く切り抜けて、彼を早く旧館へと向かわせたかった。 「その台車、よかった…

ナナセと本を助けに行く話。 ―4―

小学生の時、ナナセは色んなとろこに登るのが好きだった。太い木や山の斜面、凹凸があればコンクリートの壁すらも登った。僕はといえば、ケガをするのが怖くてただ見ているだけで、流石に危ないと感じた時は、「もう諦めろ」とナナセを止める役目をしていた…

ナナセと本を助けに行く話 -3-

ナナセと僕は順調に高速を進み、あと一時間くらいで大学に着くところまで来ていた。道中はお互いの近況について報告し合ったり、サービスエリアで安いカレーを食べたりと(もちろんナナセのおごり)、突然連れてこられた割には楽しい時間を過ごしていた。 「…

ナナセと本を助けに行く話 -2-

東京へと向かう車の中で、僕はナナセの「本を助ける」という話の経緯を聞かされた。普通は出発する前に話すべき内容を、ナナセはようやく僕に教えはじめる。それは何かの演説を聞いてるようで、僕は彼が話し終わるまで、流れる景色を見ながら黙って聞いた。 …

ナナセと本を助けに行く話。-1-

僕の友達にナナセ(仮名)という男がいて、これがとにかく〝ぶっとんだ〟人間だった。常識はずれというか、一緒に居るだけで非日常が味わえる、歩くテーマパークのような男である。石橋を叩いて渡る派の僕にとっては、ナナセはとても恐ろしい存在ではあった…