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石橋を創って渡る。

日々の創作日記。 このブログは、パソコン版表示を推奨します。 記事は横へと動くようになってます。

創作日記。 10

創作記録

今日は仕事中、電子書籍の可能性について考えていた。僕は紙の本が好きだけれど、電子書籍は徐々に普及しはじめいて、これから先無視できない媒体になる。だからこれから先、電子書籍によってどんな本が出てくるか想像してみた。

まず最初に想像したのは、「再読するごとに物語が変わる本」である。これは紙媒体ではとうていできないことで、電子書籍ならではの小説。読了するたびにデータが更新されて、物語全体が微妙に変わる作品で、ループ系やタイムトラベル系の物語が適している。読者が読み終わらないと更新されないというのが、ワクワク感があって面白そう。けれど読み返させ過ぎると、読者に嫌われる小説になるかもしれない。

 

次に想像したのが、「制限時間付きの小説」である。これは有名な作家がやると面白そうな企画で、その名の通り小説に制限時間をつけたものである。例えば二〇二〇年の四月三〇日でしか読めない電子書籍みたいな感じ。

これがもっとも効果的なのはリアルタイムな物語で、その瞬間に生きている人達が読むと面白い物語である。政治的や革命的な物語になりそうだけど、〝その瞬間に生きている人達に向けた物語〟というのはロックで面白いと思う。それをデータ社会の現代でやるからこそ価値がある。村上春樹阿部和重にやって欲しい。(たぶん嫌がると思うけど)

 

次に想像したのが、「読んだページが消えていく小説」である。これもデータ社会を皮肉っている小説で、読み終わったページから書籍データが無くなるというもの。一度ダウンロードした端末は、もう二度とその作品をダウンロードできない仕組みにする。読んだら消えるとわかれば、読者は普段とは違った読書体験ができるに違いない。

ページを戻せば物語をもう一度読めるという固定観念をぶち壊すような小説で、これは純文学や哲学的な物語に適していると思う。

この小説が読めるのは、世界の端末の数だけというのも考え深い。

 

こうした電子書籍の未来を考えていると、僕はどうも切なくなってしまった。

科学が発展することで人は色んな楽しみが増えるけれど、僕としては科学の発展が早すぎると思う。その時代に出来たものを楽しみつくす前に、もう次の年には新しいものが登場して、全ての所持品は古い物扱いされる。

どうして人間はその瞬間を楽しみ切らないで、次のステージに移動してしまうんだろうか。最近の科学の発展に僕はあまり付いていけない。毎日驚く技術が開発されて、時代についてこれない人間すらも古い物扱いされる。

実際に電子書籍の未来を想像した僕にしたって、結局はその瞬間を楽しみ切らないで、次のステージに移動している人間なんだと思う。

だから僕は紙媒体の小説で、まだできる表現を探そうと思う。僕が思うに、人類はまだ紙媒体の小説を楽しみ切れていないのだから。きっと時代に呑み込まれるけれど、時代に逆らった方がロックなものが創れると思う。

誰かが創りそうな小説なんていうのは、物語は面白くても、存在自体は面白くない。